― 育英サタデースクール・ニュージャージー校の新年行事 ―
育英サタデースクール・ニュージャージー校では、1月10日、日本文化を体験的に学ぶ新年行事が行われた。この日は、幼児部から中学部までの子どもたちが、それぞれの発達段階に応じて、餅つき、書き初め、百人一首といった日本の伝統的な正月行事や遊びに親しみ、日本の言葉や精神、暮らしの在り方を多角的に学ぶ一日となった。
海外にありながら同校が大切にしているのは、日本文化を形式的に再現することではなく、その背景にある考え方や価値観を、体験を通して理解することである。多文化が共存するニューヨークという環境だからこそ、日本文化を客観的に見つめ直し、「なぜこの文化が大切にされてきたのか」を丁寧に考える学びが行われている。この新年行事は、同校のそうした教育姿勢を象徴する取り組みとなった。
幼児部では、日本の新年行事の一つである餅つきを体験した。まず餅つきが「みんなで準備し、分け合う文化」であることを学んだ。実際に餅つきが始まると、蒸した餅米の香りや立ち上る湯気に興味深そうに目を向けながら、順番を待ち、友だちを応援し、掛け声に合わせて杵を持つ子どもたちの姿が見られた。餅つきは、幼児部の子どもたちにとって、「一緒に行う楽しさ」や「協力すること」を五感で感じる貴重な体験となった。

一方、小学生から中学部までが参加した書き初めでは、正座で姿勢を整え、先生に一礼してから筆を取る一連の所作を通して、子どもたちは自然と気持ちを落ち着かせ、自分自身と向き合っていった。墨の香りに包まれた静かな空間の中、一画一画に集中する姿からは、日本文化に流れる「静けさ」や「間」を体で感じ取ろうとする様子がうかがえた。「緊張した」と話す子どももいれば、「こんなに集中して字を書いたのは初めて」と振り返る子どももおり、書き初めが心を整える時間となっていた。

小学6年生および中学部では、「百人一首大会」が行われた。読み上げられる和歌に耳を澄ませ、狙いを定めた札へと素早く手を伸ばす姿は、真剣そのもの。言葉の響きやリズムを頼りに瞬時に判断する様子からは、これまで授業で和歌に親しんできた学びの成果がうかがえた。勝敗に一喜一憂しながらも、相手を尊重し、結果を受け止める姿勢が自然と育まれていく様子だった。

全学年に共通していたのは、日本文化を知識としてではなく、体験を通してその精神や意義を学んでいた点だ。
平日はアメリカの学校に通い、土曜日には日本の学校で学ぶ子どもたちにとって、こうした体験は、日本文化を相対的に捉え、将来さらに異なる文化に触れた際にも自分のルーツを語る力となる。ニューヨークという国際的な環境に身を置くからこそ、日本文化を深く理解し、自分の中に確かな軸として育てていく教育が、ここにはある。育英サタデースクール・ニュージャージー校では、今後も体験型の学びを通して、知識だけでなく、人としての土台を育てる教育を大切にしていく。