
ニューヨーク育英インターナショナルスクール(全日制部門)では、教室での学びにとどまらず、実体験を通して世界を理解し、豊かな心を育てる教育を大切にしている。日本語と英語の両方を用いながら、自ら見て、考え、感じたことを言葉にする経験は、同校の学びの大きな柱となっている。
8月28日と29日の2日間、小学部1・2年生が、ニューヨーク州ダーハムにある200年以上の歴史を持つハローファームで、1泊2日のファームステイを体験した。
現地校であっても、こうした体験を低学年から宿泊を伴って行う機会は決して多くない。同校では、多文化が交差するニューヨークという環境にあって、その土地に根づく暮らしや歴史、人々の営みに実際に触れることを大事にしている。
約300エーカーに及ぶ広大な敷地を持つこの農場は、今も人々が暮らし、農業を営む地域社会の一部である。

子どもたちは民家に分かれて宿泊し、農場の暮らしの中に実際に身を置きながらプログラムに参加した。民泊という形をとることで、農作業だけでなく、食事や生活のリズム、人との関わりを含めた「暮らしそのもの」を体験する時間となった。これは、短時間の見学では得られない、深い学びにつながる要素でもある。
初日は、「とうもろこしの皮むき」や「コーン畑の迷路」、「動物たちへの餌やり」など、農場ならではの活動に取り組んだ。農場スタッフから地域の歴史について話を聞く場面では、敷地内に立つ石碑を興味深そうに見つめながら、子どもたちが次々と英語で質問を投げかけていた。知りたいことを自分の言葉で伝え、理解しようとする姿からは、日頃の学習で培われた姿勢がうかがえた。

活動後の食事では、農場での作業を終えた子どもたちが、「このコーン、さっき見たね」「ここで育てているんだね」と話しながら、目の前の食事と自分たちの体験を結びつけていた。農家の暮らしの中で、毎日食べているものがどんな作業を経て食卓に届いているのかを知り、「大変だけどすごいね」「がんばって作っているんだね」と、驚きや感動を言葉にする姿も見られた。
翌日は朝食前に、子牛たちへのミルクやりを手伝い、その後「鶏の卵集め」や「乳しぼり」を体験した。「思ったより力がいるね」などと言いながら、実際に体を動かすことで、卵や牛乳が当たり前にあるわけではないことを、実感をもって受け止めていった。生産者の姿を間近に見ながら過ごしたこうした時間は、食べ物のありがたさを感じるきっかけとなっていた。

今回のファームステイを通して、都市部での生活だけでは見えにくい、アメリカのもう一つの姿に触れることができた。また、子どもたちは農場で働く人々への感謝の気持ちを育むと同時に、命のつながりや尊さについて考える機会を得た。こうした体験は、ニューヨークという国際都市に暮らす子どもたちにとって、アメリカをより立体的に理解するための貴重な機会となっている。
ニューヨーク育英インターナショナルスクール(全日制部門)では、低学年からこうしたニューヨークならではの体験を教育の中に積極的に取り入れている。日本語と英語で、ニューヨークを「住む場所」としてだけでなく、「理解する場所」として捉えるこの取り組みは、同校ならではの教育のかたちといえるだろう。