閉じる
サタデーNJ校

「日本語を学ぶ」だけではなく「味わう」経験を!

育英サタデースクール・ニュージャージー校の「全校読書」の魅力とは

育英サタデースクール・ニュージャージー校小学部では、教科書を使った国語の学習に加え、日本語に親しむ体験そのものを大切にしている。週1回という限られた授業時間だからこそ、言葉を「知識として学ぶ」だけではなく、その背景や響き、使われ方までを含めて「理解し、味わう」時間を意識的に設けている。多文化が交差するニューヨーク近郊という環境の中で、同校では毎週土曜日を「みんなで楽しむ日本語の日」と位置づけ、丁寧に国語と向き合う姿勢を貫いている。

その象徴的な取り組みの一つが、学期に1回実施されている「全校読書」である。単なる読書の時間を設けるのではなく、学年や立場を越えて、「日本語を理解し、味わう」ことをを目的とした授業として位置づけられている。

「全校読書」では、1学期と3学期には、児童一人ひとりが自分で選び、持参した本を手に、全校で時間を決めて一斉に読書を行う。この時間の特徴は、子どもたちだけでなく、教室の先生も一緒に本を開き、同じ空間で静かに読書に向き合う点にある。大人も子どもも同じ読者として本に向き合う姿から、日本語の世界に集中する空気が自然と生まれ、読むことそのものの価値が共有されていく。

自分で選んだ一冊を読みながら、子どもたちは物語や文章の奥行きに触れ、日本語の表現の豊かさを実感していく。こうした「静かに日本語と向き合う時間」は、日常では得がたい貴重な経験となっている。

一方、2学期の「全校読書」では趣向を変え、担任による一斉読み聞かせが行われる。この日は、各担任が事前に読む本を紹介し、児童はその紹介を聞きながら、「この先生の語りで聞いてみたい」「この本の世界に触れてみたい」と考え、自ら希望する教室へと移動する。学年に関係なく、物語そのものへの興味を基準に教室を選ぶという体験は、日本語を受け身で学ぶのではなく、主体的に向き合う姿勢を育んでいる。

読み聞かせが始まると、教室には静かな緊張感が広がり、子どもたちは先生の声にじっと耳を傾ける。語り口や間の取り方によって情景が立ち上がり、言葉一つひとつが持つ力が伝わってくる。笑い声がこぼれたり、思わず息をのむ場面があったりと、物語を全身で受け取る姿が随所に見られた。

中でも、絵本『おしいれのぼうけん』の読み聞かせには、1年生から高学年まで多くの児童が集まった。年齢の異なる子どもたちが同じ物語を共有し、それぞれの経験や想像を重ねながら物語の世界を味わう時間は、海外にありながらも、日本の国語教育の本質に深く触れるひとときとなっていた。

読み聞かせが終わる頃には、「楽しかった」「おもしろかった」という声とともに、「この言葉、さっき出てきたね」「この場面、どういう意味なんだろう」と、言葉そのものに目を向ける姿も見られた。物語を通して新しい語彙や表現に出会い、日本語の奥深さを理解する時間となった。

育英サタデースクール・ニュージャージー校では、「日本語の読み書きができる」ことにとどまらず、「日本語を理解し、味わう」ことを何よりも大切にしている。海外にいるからこそ、日本語に意識的に向き合い、丁寧に国語教育を積み重ねていく。同校では今後も、全校読書をはじめとした多様な取り組みを通して、言葉の力と豊かな心を育む学びを深めていく。