PRINCIPAL'S COLUMN
子どものメンタルヘルスに
対する、
私たちの考え方。
理事長 武田 秀俊 / 2026年
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ABOUT THIS COLUMN
武田 秀俊(たけだ ひでとし)
ニューヨーク育英学園 理事長。2026年度より本格始動するメンタルヘルス・プロジェクトの推進を主導。「メンタルヘルスは心の病の治療ではない」——生徒・保護者・教職員が共に支え、共に育つ「生態系」として学園を再定義しようとする、そのビジョンを本稿に示す。
01
「母港」としての学園——その役割とは
JCSは、生徒・保護者・教職員にとっての「母校」であるとともに、「母港」でありたいと考えています。異文化の荒波からいつでも戻り、自分を再確認してエネルギーを補給できる場所。世界中どこにいても自分らしく人生を切り拓く強さを養うことを目的とします。
JCSが果たすべき役割は、三つの層で整理できます。
- 土台 周辺環境を含む「心理的安心」と「心身の充実」が確保されていること。これはすべての教育活動の前提条件となります。
- プロセス その土台の上で、生徒を中心に、保護者・教職員のそれぞれが「挑戦・失敗(挫折)・再挑戦」のサイクルを繰り返せる「練習の場」となること。
- 結果 そのプロセスを通じて「(社会で)生きる力」が育まれること。世界のどこへ出港した後も、いつでも帰れる安心感と、エネルギーを補給できる「拠点」として機能し続けること。
「日本よりも日本を理解し、
ローカル以上にNYを体験する」
——その環境を活かして、
挑戦・失敗・再挑戦を繰り返す。
— 武田 秀俊
02
本プロジェクトにおける「成功」の定義
本プロジェクトにおける「成功」とは、以下の【土台】と【2軸】がそろった状態を指します。
JCSの教育理念においても「知識・体験・人間教育」の土台として、常に一生懸命いるための心身の充実が明示されており、本プロジェクトはこの理念と直結します。
03
① 内面的安定——アイデンティティの確立
ニューヨークという「世界の縮図」とも言える多文化社会で暮らすなかで、日々、言語だけでなく文化的多様性に触れられることは、子どもたちにとってまさにニューヨークならではの体験であり、非常に大きな「教育」となります。
JCSでは、日本の言葉や文化、情緒を深く理解し、それを多文化社会における主要な「軸」の一つとして内面化できることを目指します。同時に、ニューヨークにいる子どもたちには、アメリカ(英語、文化)の「軸」もできます。この複数の「軸」を自分自身の考えに基づいて相対的に理解できる力こそが、まさにグローバル人材に必要なスキルであり、JCSが目指す教育の核心です。
非常に刺激的な日常を過ごすことはニューヨークの価値であるとともに、JCSの教育価値の源泉でもあります。一方で、情報過多の時代において、時にメンタルにも大きな負荷をかけることになります。この適切なバランスを保つために、メンタルヘルス・プロジェクトは非常に重要だと考えています。
困難に直面しても、
苦しさや痛みを正直に受け止めながら、
しなやかに立ち直り、再び挑戦し続ける力——
これが行動的レジリエンスです。
— 武田 秀俊
04
② 行動的レジリエンス——しなやかな回復力
「(社会で)生きる力」とは、子どもたちが「自分らしい自分」でいられるなかで、自立して生きていける状態と考えます。JCS在籍中は、社会の動向を理解しながら、常に一生懸命に「自分らしい自分」「なりたい自分」探しをしてもらいたいと思っています。
しかし、その「自分探し」のプロセスは、決して平坦ではありません。NYで自分の立ち位置を知ることは、時に厳しい現実を突きつけられることでもあり、挫折や比較による傷つきも避けられません。そのために必要なのが、様々なことに挑戦できる絶対的な心理的安心感と、日々進歩を心がけるような心身の充実です。
このようなJCS時代を送ることは、JCS修了後も、「失敗しても帰れる場所(学園・家庭)がある」という絶対的な安心感と、整った心身を土台に、未知の環境や困難に直面しても果敢に再挑戦し続ける力を持つことに繋がります。
05
成功を確かなものにする——3つの行動指針
成功を確実なものにするため、JCSは以下の3つの指針に基づき活動を展開します。
- 01 「日本」をアイデンティティの主要な「軸」とする グローバル環境に身を置くからこそ、日本教育に重点をおく教育機関として、日本語教育や文化体験を通じて内面(「軸」)を充実させ、揺るぎない自己肯定感につながるカリキュラム・支援を行います。
- 02 逆境をリソース化するマインドセットの醸成 日米の文化差や適応の困難さを「ストレス」として切り捨てるのではなく、多文化対応能力を磨くための「リソース(資源)」として捉え直す対話と教育を推進します。
- 03 教職員から始まるポジティブな伝播 学園という「母港」の設計者である教職員自身が、まず自身のメンタルウェルネスを体現します。大人が健やかに挑戦し、失敗・挫折を経験しながらもそれを乗り越える姿を見せることで、生徒や保護者へ安心感と挑戦する勇気を波及させます。
