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植村 彬子 (うえむら あきこ) さん

卒業生インタビュー:ようこそ先輩!

プロフィール

植村彬子さん

2010年 育英サタデースクールマンハッタン校中学部を卒業
2017年 コロンビア大学ラテンアメリカ・イベリア半島文化学部卒業
2025年 イエール大学大学院スペイン語ポルトガル語学部博士課程卒業
現在、全米大学ヒスパニック名誉協会・イエール大学支部所属
2025年9月より京都の国際日本文化研究センターにてポストドクター勤務予定

NY育英学園在籍中のことについて、簡単に教えてください。

 私は2000年から2010年(幼稚園から中学校3年)までを、育英サタデースクールマンハッタン校にて学びました。
 その間、小学2年の1年のみは、父の仕事の関係で日本のインターナショナルスクールに在籍しました。

 

学園での思い出の中で、特に印象に残っている授業や行事、先生とのエピソードがあれば教えてください。

 育英サタデースクールマンハッタン校にての日々は、本当に思い出深いです。
 
 作文の課題において、日本語を書く貴重な機会をいただき、それ自体が大きな学びとなりました。創造力の訓練はもとより、私の言語上の自己認識形成の基礎となりました。
 
 国語の授業で、短歌に触れましたことも印象深い学びでした。忘れ難い記憶や想いを五七五七七の31音で綴ることができる素晴らしさに大変感銘を受けました。今でも、短歌を詠むことは私の趣味のひとつになっています。
 
いつぞやが
學び舎にこそ
我が礎
ありけるを思ひ
いと有難けれ

 
 友人たちと共に、様々な生き物を観察したセントラルパーク動物園への遠足、皆で楽しく過ごした運動会、体育の授業におけるドッジボールもまた素晴らしい思い出となっています。
 
 休み時間に、私が以下のなぞなぞクイズを出したところ、友人たちのみならず、先生も参加してくださったのが、とても思い出深いです。
 
問題:名前をあてましょう「442🐁」ヒント:歴史上の人物
(答え: よしつね=源義経公)*よん、四、Two、ねずみ)
 
 この場にて、先生方に心より篤く御礼申し上げるとともに、友人たちにも感謝したいと思います。

 

NY育英学園で学んだことの中で、今のご自身にとって特に役立っていると感じることは何ですか?

 学園では、たくさんの得難い学びがありました。
 
 特に日本語の豊かさを学ぶことができたことで、私は日本語を第一の母語と認識することができました。また、このことがその後の多言語学習や研究(英語、スペイン語、ポルトガル語、ラテン語)の礎となりました。さらに、日本語を他言語とを比較することが多くなり、比較文化研究の基礎ともなりました。
 
 サタデースクールの休み時間には読書が奨励されていましたので、読書習慣を身につけることができました。当時児童向けの文学、伝記を多読したことが、現在の研究における読解、考察力に役立っています。
 
 また、敬語の授業により、礼儀を心掛けるようになりました。おかげさまで多様な方々との交流、会話ができるようになりました。

 

NY育英学園での学びが、大学・大学院での研究や海外での生活にどのような影響を与えたと思いますか?

 学園での学びは、博士課程においての研究、文章の基礎になったと考えています。例えば、自由研究において、探求する愉しみや主題を選択し自主的に研究を進めることを経験しました。このことは研究者を志す契機のひとつとなりました。イタリアのシチリア島の歴史を自由研究の主題に選んだことは、現在の研究において、文学考察に加えての歴史研究の基礎となりました。
 
 つまり、学園で学んだことを、年月を経て、博士論文にも反映させることができたのです。

 

現在のご研究内容やご活動について、差し支えない範囲でご紹介いただけますか?

 今年度5月にイエール大学大学院スペイン語ポルトガル語学部博士課程を卒業しました。
 
 博士論文は英文でしたが、論文を書くにあたり、日本語の様々な二次資料を参照致しました。
 その博士論文にて、17世紀にイエズス会がその布教成果を宣伝し権威を示す為に上演したスペイン語劇が、日本での布教の非理想的な側面を意図せずに明らかにしてしまっている現象を研究しました。
 
 また、イエール大学院にてスペイン語およびスペイン語文化の教授資格も博士号と併せて取得しました。
 
 今年の9月からは、京都の国際日本文化研究センター(日文研)にてポストドクターを務めます。
 
 
<受賞歴・取得資格>

  • 2010、 2011年 アメリカ古典学会から『最優等賞(Summa Cum Laude)』を受賞
    “Summa Cum Laude” merits from the American Classical League, for outstanding performances in National Latin Examinations
  • 2016年 コロンビア大学にて人文学分野におけるホークス学部長記念賞を受賞
    Dean Hawkes Memorial Prize in the Humanities: “Awarded annually to the member of the junior class who is judged to be the most deserving on the basis of work in the Humanities”
  • 2017年 コロンビア大学にて、ラテンアメリカおよびイベリア文化の研究においてスーザン・ハンティントン・ヴァーノン賞受賞
    Susan Huntington Vernon Prize: “given to the Columbia College senior major who has demonstrated excellence in the study of Latin American and Iberian Cultures”
  • 2025年 イエール大学院スペイン語、スペイン語文化教授資格取得

 

最後に、在校生や保護者の方々、また入学を検討しているご家庭へメッセージをお願いします。

 ニューヨークにお住まいでお子様の日本語学習を検討されている場合、NY育英学園の入学をお勧め申し上げます。
 
 お子様にとって、学園での日本語学習は、必ず実りがある体験となります。幼少の頃より日本語、日本文化を体系的に体験する機会がたくさんあることはもとより、学園ならではの素晴らしい先生たちや友人たちとの出会いは得難いものがあります。
 
 現地校に通い、宿題や課題をこなしていくだけでも大変なことです。それに加えて週末も通学することでご御苦労もあるでしょう。私自身もそうでした。それでも、いつか、NY育英学園に行って本当に良かった、と思えることがあると思います。ぜひ、学園にての学びを体験されてはいかがでしょうか。


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